【投稿】ネイチャーテクノロジーの手法と革新的な農業機器開発への応用~農学での応用可能性②~京都大学大学院・橘 悟
- 2022/9/26
- 技術, 話題
- 農機新聞 2022年(令和4年)9月27日付け
前回に引き続き農業分野でのアイデアを提示する。人が操縦する農業用車両では、転倒事故などから運転者を守るための「安全性」も重要な性能である。過去にメルセデスベンツが開発した車両に「バイオニックカー」というものがある。これにはハコフグの骨格構造がもつ流体抵抗軽減の仕組みが活かされており、従来の3分の1の重量のまま強度と衝突安全性が維持されている。ハコフグは体表に沿って体内を囲むように骨格が発達している点で、一般的な他の魚類とは構造が大きく異なる。農業用車両では一般用車両ほど速度を求められないので、ハコフグの構造を重量軽減より強度を優先して設計すれば、より安全な新しい農業用車両を開発できる可能性がある。