宮城県、2ヘクタールの標準区画で作業効率高める

仙台平野では麦刈りが始まっている。田植えの終わった水稲の緑と熟した麦の茶色が美しいコントラストを形成している。ただ、ほ場1枚の面積が大きくなっていることに気が付く。ここには2ヘクタールの巨大区画水田を含め、これまでになかったような大区画ほ場が並んでいる。2011年の東日本大震災によって宮城県内の約1万4300ヘクタールの農地が浸水し、作付けが困難となった。水路が破損したり、排水ポンプが破壊されたためである。宮城県では被災した市町からの要請を踏まえ、東日本大震災復興交付金を活用し、約3900ヘクタールの農地を対象にほ場の大区画化など抜本的な農地の再編整備に取り組んできた。これが現在の光景に結びついている。これまでの農地基盤整備ではほ場1枚の面積は30アールが基本であったが、農業構造の変化によってこの30アールほ場では効率的な農作業ができなくなっている。とりわけ大型農機を使っての作業では能率が上がらない。全国ではほ場1枚を大きくする動きが広がっている。宮城県のような公的事業としてだけでなく、農地の担い手たちが自らほ場面積の拡大に取り組んでいる。先進的経営と新技術の導入に意欲的な茨城県の横田農場でも農繁期に畦畔を撤去してほ場面積を広げている。同農場の横田修一代表は「うちは1台のコンバインだけで100ヘクタールもの収穫作業をしている。面積はまだ増えており、それもそろそろ限界かと考えていたが、ほ場1枚の面積を広げることでまだまだできるのではないか」と語っている。宮城県では2ヘクタールを「新たな標準区画」として岩沼市と名取市を中心に355ヘクタールを整備した。日本農業は以前から経営規模の拡大を目指してきたが、それが現実のものとなれば、効率的な農作業のためにほ場面積を広げなければならない。面積が広がることで枕地でのUターンに要する時間も減少する。それだけではない。畦畔の幅を3メートルに広げている。ここを利用してUターンする農道ターンも可能だ。水路を地下に埋設し作業をしやすくしている。こうした取り組みによって宮城県では先進的な農業が導入されている。しかし、ここまでほ場が広くなれば生産の形態も変わる。これまでのような個人農家ではこの巨大区画に対応できない。集落を核として農業生産法人が相次いで誕生している。しかも、その経営面積は100ヘクタール規模である。これだけの規模を持った生産法人でなければこれからの農業生産を担えなくなっている。当然、農作業に必須となる農業機械はますます大型化する。トラクタでも100馬力は当たり前となっている。機械が大型化するだけではなく新しい農業技術も導入されている。農研機構東北農業研究センターでは水稲の乾田直播をはじめとした最新技術の実証をここで行うことで、これからの日本農業には欠かせない新技術の普及を目指している。農地の基盤整備と農業機械の両輪で新しい農業を作る。

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